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大豆生田実 前足利市長に聞く 4年間の総括【後編】


4月21日に任期満了に伴う足利市長選が行われた結果、無所属新人で元朝日新聞記者の和泉聡氏(49)=自民推薦=が無所属現職の大豆生田実氏(47)を破って初当選し、5月13日より足利市新市長に就任しました。
今回の「あしかがのこと。」カバー記事では、4年間の任期を終えた前市長、大豆生田実氏に行ったインタビューの内容を掲載いたします。

任期満了間近の5月11日土曜日。市役所内の市長応接室で大豆生田市長(当時)にお話を伺いました。本インタビュー記事は、お話いただいた内容をできる限りそのまま掲載したものです。

なお、本インタビューは【後編】です。【前編はこちら】から。

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――この4年間、足利のいろんな場所でいろんなモノ・コトを目にされたと思いますが、端的に言えば、足利の「強み」と「弱み」は何だと思いますか?

大豆生田:足利の街づくりの方向性として「文教医療福祉都市」を掲げてきました。「文化」「教育」「医療」「福祉」という4つの面は、両毛地区の中でも足利市の秀でた面だと思っています。ですからこれは強みであり、これらをさらに充実させていくような取り組みをしていきたいと思っていました。

そのためには財源が必要なので、行政改革を行って歳出を効率化させ、歳入を確保する。これに加えて、地場産業の一層の振興をして、収益を上げてもらい税金を納めてもらう。「足利学校参観者倍増計画」などをベースに観光産業を盛り上げ、携わる業者に税金を納めてもらう。こうしたことで財源を確保して「文教医療福祉都市」を進めていく考えでした。

一方弱みという点では、足利には広大な開発可能なスペースがないことがあげられます。そうしたスペースがなければ、開発ができない。開発ができなければ企業誘致ができない。新たな雇用を生もうとしても企業誘致というやり方がなかなかできない、というのが非常に痛いところです。それでも、インタービジネスパーク周辺の何千坪という土地などで開発計画は練ってきましたが、太田など近隣の他地域と比べると見劣りがしてしまっているというのが足利の現状です。

――開発用地がないという点で、土地の知識がない我々からすると、国道50号の南側に土地が余っているようにも見えるのですが。

大豆生田:県(あがた)駅周辺のことですよね。あの辺りはいわゆる「青地」と呼ばれる優良農地になっていて、国の規制で開発ができないエリアなのです。一方太田をはじめとした群馬県側は、開発できる「白地」と呼ばれる農地が多い。足利が青地を確保していた経緯としては、栃木県が農業県だから…ということがあるのですが、群馬県はそういう線引きをあまりしなかった。そのために開発可能な場所が多く残っているのです。

――広大な空きスペースがないからこそ、街中の空き店舗や空き店舗など、限られた空きスペースでの創業支援といった考え方もあると思うのですが、そういった施策は行っていたのでしょうか?

大豆生田:空き店舗対策事業はすでに行っていて、大門通から足利学校前までの空き店舗はなくなりました。その成功をふまえて、エリアをその周辺に拡大して空き店舗にお店を出す方に対して助成を厚くする、という形をとっています。その他にも、足利で会社を創業した場合は法人市民税を3年免除、さらに2年半額免除というサービスも始めましたし、昨年は既存の工業団地の規制緩和も進めました。この規制緩和では、結果的に3万6千坪の新しい工業団地ができたに等しい状況が作れたのです。その中で既に約1万坪の活用が決まっています。このように、制限された状況の中で知恵を出して地場産業の振興を図ってきました。

――今までのお話を聞くと、全体の方針を決め、数値目標を決め、それに基づいてアクションプランを決めて…という、ビジネスに近い形で市政を運営されていた印象を持ちました。

大豆生田:経営方針を明確にすることによって、それを市の職員と共有して一緒に仕事をすることができたと思っています。

――そういった市長のやり方に対して、戸惑いや反発の声は役所内からは上がらなかったのでしょうか?

大豆生田:僕のマネジメントは、やる気のある職員のやる気を引き出すのに効果があったのではないでしょうか。だからこそ結果につながったと思っています。

――市長はTwitterやブログなど、新メディアを積極的に活用されていた印象を受けますが、これらメディアで情報を発信する際、気を付けていた点や意識していた点はありますか?

大豆生田:無責任な発言はしないよう気を付けていました。だからかもしれませんが、市長になる前のブログの方が、辛辣なコメントなどもあっておもしろかったと言われることがよくあります。

――現在(5/11時点)ではブログの更新が止まっていますが、今後更新を再開される予定はありますか?

大豆生田:もちろんです。市長時代よりももうちょっと、言いたいことを書いていこうかと思っていますし(笑)、客観的に市政をみて評価もするし批判もするという形での書き込みができるんじゃないかと思っています。さすがに市政のことはわかっているので、僕の感覚で「これはどうなの?」ということは言えるかもしれません。

――今後、足利はどのような街になっていけばいいと思いますか?

大豆生田:僕が進めてきた「文教医療福祉都市」は、煎じ詰めて言い換えれば「品格のある街」ということです。足利をそういう街にしたいと思ってきたので、そうなってほしいな、と思っています。

――13日から新市長となる和泉氏に期待することを教えてください。

大豆生田:ご自身が掲げられた公約をしっかりと実行し、足利市を市民から評価いただけるような街にされることを期待します。

――最後に、今後のご予定を教えてください。

大豆生田:政治的な活動については、現時点では白紙です。

――お忙しいところ、ありがとうございました。

 

(聞き手:「あしかがのこと。」編集長:茂木、写真撮影:「あしかがのこと。」記者:山田)


※この記事に掲載されている情報は取材当時(2013/06/20)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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山田 雅俊

特定非営利活動法人コムラボ 代表理事、あしかがのこと。発行責任者。本業はIT屋。システム開発、Web製作、ICTサポートの経験を生かし、地方都市における情報格差に対し企業・NPO法人の両方から取り組む。趣味のカメラで子どもたちを撮るのが楽しみ。

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