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県立足利図書館 『足利の富士講 ~秘巻の霊統展~』


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冷たいからっ風が吹きすさぶ足利の冬はとても厳しいものですが、一方で激しい風が足利の空を青く澄み渡らせてくれます。冬の朝に小高い建物や山の上から遠くに望める美しい富士山は足利の冬の風物詩といえるかもしれません。

銭湯の壁に描かれたり、おめでたい初夢の象徴であったり、私たち日本人の生活のいたるところに息づく霊峰富士ですが、江戸時代には長谷川角行という行者によって“富士講”と呼ばれる富士山信仰が生まれ、足利は北関東における富士講の拠点の一つとなっていました。北郷地区にある富士見町という地名は、かつて同地から富士山が望めたことの名残りでありここが富士講の聖地だったということが由来となっているようです。

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現在、栃木県立足利図書館では「足利の富士講~秘巻の霊統展~」という企画展が開かれ、足利に残る富士講に関する多くの資料が紹介されています。 “富士型御型”や足利ペタンコ祭りの御神印など足利市民にとっては何となくなじみ深いものも見ることができ、富士講が足利の人々の生活に深く根付いているということを実感させられる興味深い展示となっています。

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どれも貴重な資料ということで今回は展示物の一つひとつを写真でご紹介することはできませんが、今回の企画展のために手作りされたという富士塚アートは一見の価値ありです。手作りの鳥居に迎えられて歩みを進めていくと富士塚オブジェが一望できる広場に出ます。富士塚の前にはショーケースの海が広がり、摩訶不思議な富士講の世界に自然と導かれていくような構成になっています。神が歌うようなBGMが流れる展示室内は、そこ自体がパワースポットであるかのような雰囲気を醸し出し、展示室を後にする時は富士山登拝を終えたあとのような清々しい気持ちになりました。

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『足利の富士講 ~秘巻の霊統展~』
期間:2015年2月28日(土)まで

開館時間:午前9時~午後7時(土日は午後5時)

観覧料:無料

 


※この記事に掲載されている情報は取材当時(2015/02/26)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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Kang Haruko

元韓日映像翻訳者。通訳案内士(韓国語)。夫は韓国人で国際結婚家庭です。 東京、ソウル、大阪での暮らしを経て2013年約20年ぶりに、故郷足利に戻って来ました。足利の歴史やアートの世界に興味があります。

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