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平成27年9月関東・東北豪雨 災害ボランティア体験記@鹿沼市


9月10日前後の「平成27年9月関東・東北豪雨」により栃木県にも大雨特別警報が発令されました。幸いにも私たちの住む足利市では大きな被害はありませんでしたが、県内各所が雨や河川の氾濫による大被害を受けました。足利市からも多くの人々が被災地へのボランティアに参加しているようです。そんな中、ボランティアに参加された市内在住のHさんがあしかがのこと。に手記を寄せてくれました。

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9月12日、台風18号(平成27年9月関東・東北豪雨)の被害を受けた鹿沼市内で、災害ボランティアとして行った活動や、その経験を通じて感じたことや考えたことなどを、そこはかとなく、書いてみました。

○被災現場

地元の方に被災時の状況を伺ったところ、被害のあった地区の東側に流れる小河川が、9月10日の午前0時過ぎに氾濫し、その河川に近く土地の低い同地区に一気に水が流れ込んだそうです。

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鹿沼市内の小河川

被害のあった地区の東側に流れる小河川。
地元の人によると「普段この時期は、もっと水量が少ない」とのことでした。

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なぎ倒されたコンクリートの壁

「コンクリートの壁がなぎ倒され、一気に被災地区に水が流れ込んだ」とのこと

現地を訪れた時には、既に水は引いていましたが、水に浸かって動かなくなった車が何台も道端に放置されており、家の中が泥だらけになった民家が多く見られました。

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押し出された車。車の重さは約2トン。

押し流された車 活動中に何台もの車が同地区からレッカー車で運び出されていました。

○被災時の状況

片付けの手伝いをさせてもらった家(木造平屋建て)のおばあさんに、被災時の状況について話を聞かせてもらいました。

「10日の午前0時過ぎに、テレビを観ていたら、突然水が家の中に入ってきて、あっと言う間に土間が水に浸かってしまいました。真っ暗な中、必死で裏の2階建ての家に避難し、一晩過ごさせてもらいました。ありがたかった。」

「長いこと住んできたけど、こんなことは初めての経験でした。黒川から水が来ることは考えたけど、まさかあの小さな川から水が来るとは思っていませんでした。」

おばあさんが、ここで暮らし始めて以来、未だかつてない集中豪雨であったこと、また、水の室内への侵入は、一瞬の出来事であったことがうかがえます。

「テレビを観て、起きていたから良かったけど、寝てたら逃げ遅れていたかもしれない…」

おばあさんのその言葉を聞いて、改めて水害の恐ろしさを実感しました。

○災害ボランティアの必要性

今回、はじめて水害現場で活動させてもらいましたが、その作業量の多さに驚きました。まず、浸水した部屋の家財道具をすべて運び出します。家電製品や家具などを運び出すためには、大人数の力が必要です。その後、使えるものと使えないものを仕分けし、水に浸かって重くなった畳を剥がして運び出し、泥だらけになった床を水とブラシで洗い流し、外に出した家財道具を清掃、乾燥させ、再び室内に入れる、庭や通路に溜まった泥をスコップで集めて土嚢袋に入れて廃棄する、などなど、その作業量は膨大です。

とにかく「マンパワーが必要だ」ということがわかりました。

集められたガレキのやま

様々なものが流されました

被災現場の一画に集められた廃棄物の山

○災害ボランティアの魅力

今回の経験を通じて、災害ボランティアの魅力に改めて気づきました。

微力だが無力ではない

実は、現地に入る前までは、たかが自分一人がボランティアに行っても、何ができるんだろう…という思いがありました。しかし、作業に没頭し、額に汗していると、少しずつですが着実に片付いていくのです。
その光景を見て、「ひとりの力は微力かもしれないが、決して無力ではない」ということを実感することができました。

喜んでもらえる喜び

「本当に助かるよう。ありがとうね」と言ってもらったとき、自分が汗を流した分だけ、お手伝いした方や地区の方に喜んでもらえていると感じ、嬉しく思いました。自分のやっていることが、直接人の役に立っていると感じられたときの喜びは格別なものです。

ボランティア仲間との出会い

災害ボランティアの現場では、はじめて会う人同士がチームを組んで活動します。まったく見ず知らずの人が、「ボランティア」によって結ばれ、共に汗を流し、交流を深めていく…こうしたボランティア同士の交流は災害ボランティアの魅力の一つです。

良き仲間との出会い

良き仲間との出会い

チームとして一緒に活動したメンバーと黒川沿いを歩いて鹿沼市災害ボランティアセンターまで帰りました 今回も良き仲間に出会えました

災害ボランティアの現場には、まさに「お金で買えない価値がある。プライスレス」の世界が広がっていました。

○災害ボランティアの効用

災害ボランティアの経験は、副次的なものではありますが、自分自身の防災意識にも変化を与えてくます。被災地の風景が目に焼き付いたまま地元に帰ってくるので、普段何気なく眺めている自分の街の風景を、被災地の風景と重ね合わせることができるようになります。すると、「もし、ここで集中豪雨が起こったら、どうなるだろう?」と考えられるようになります。

こうした防災・減災視点で、地元の風景を捉え直し、災害を具体的にイメージできるようになれば、具体的な対策も思いつくようになると思います。さらにそうしたイメージをより多くの人と共有することができるようになれば、地域全体の防災・減災力が高まっていくと考えます。

○災害ボランティア事始め

栃木県内でも、まだまだボランティアを必要としているようです。
各地の災害ボランティアセンターのHPを確認し、ボランティアの受付状況を確認してみてください。

災害ボランティアの予備知識について、まとめられているサイトはコチラ


※この記事に掲載されている情報は取材当時(2015/09/26)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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