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20166/18

男女別でお参りするのは足利だけ!初夏の伝統行事、初山ペタンコ祭


毎年6月1日に行われている足利初山ペタンコ祭。1年の間に生まれた赤ちゃんを連れて参拝し、御朱印を額に押してもらい、無病息災・開運を祈願します。神前で赤ちゃんの額に神社の御朱印を押すことから「ペタンコ祭」の名で親しまれています。この日に市内で見かける子供たちの額の御朱印は、足利の初夏の風物詩です。

お七夜と初山祭の意外な関係

「初山祭(はつやままつり)」「初山まいり」とは、富士山に登拝する代わりに、地元の富士山を祭る浅間神社(せんげんじんじゃ)へお参りし、子育ての神様であるご祭神「木花開耶姫命(このはなさくやひめ)」に無病息災、無事成長を祈願する祭礼です。
「栃木の祭り 柏村祐司著 (有)随想舎発行」によると、関東地方ではお七夜に赤ちゃんの額に文字を書いてお参りする風習があったそうです。初山ペタンコ祭は、富士浅間信仰の登拝行事と赤ちゃんのお七夜の成育儀礼とが融合した関東地方ならではの独特なお祭りとのこと。初山=ペタンコのイメージがあるかもしれませんが、千葉や茨城の一部の神社ではお参りのみで御朱印を額に押す風習がありません。

お七夜が由来の御朱印

お七夜が由来の御朱印

男女が別なのは足利だけ!

足利富士浅間神社のように、富士山の神霊として考えられている浅間大神を祭る神社は、静岡県および山梨県を中心として全国に約1300社あるそうです。
そのうち、群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県にある約20か所の神社で初山祭、初山まいりが行われています。近隣では、太田市や館林市で初山祭を行っている神社があります。沢山の神社で行われている初山祭ですが、男児は男浅間(おとこせんげん)、女児は女浅間(おんなせんげん)と、男女が分かれて参拝するのは足利だけです。

渡良瀬川沿いにある低い山は女浅間(おんなせんげん)

渡良瀬川沿いにある低い山は女浅間

約100年前、2つに分かれた浅間山

「男浅間と女浅間があるのは足利だけです」と足利富士浅間神社の古山さんは足利での特長を話します。「男浅間と女浅間は本当は一つの山で、昔はつながっていました。東武鉄道の延長工事に伴い山が切り取られ、山が2つに分かれたそうです」。「ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 足利 三田忠夫編 国書刊行会発行」によると、東武鉄道が足利まで開通したのは明治40年で、太田まで延長開通したのは明治42年。山の一部が切り取られ、浅間山が2つに分かれたことによって、男女別に参拝する形になりました。

明治41年頃の切取工事の様子。右手に見えるのが女浅間。(「ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 足利」三田忠夫編 国書刊行会発行 より転載※転載許可取得済 無断転載禁止)

明治41年頃の切取工事の様子。右手に見えるのが女浅間。(「ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 足利」三田忠夫編 国書刊行会発行 より ※転載許可取得済 無断転載禁止)

男浅間と女浅間。違いも面白い足利ペタンコ祭

男浅間(上の宮)と女浅間(下の宮)に分かれている足利の浅間神社は、男の子は高い山の男浅間に、女の子は低い山の女浅間へ参拝します。
男の子は「さくらの花びらの中に浅間神社」、女の子は「角印(2cm角)の中に浅間神社」の御朱印を押します。それぞれ男児は立派に無事成長するよう、女児は清らかに美しく成長するよう神の守護を受けた証という意味もあるそう。
男女で参拝する山や御朱印が異なるのも、足利のペタンコ祭ならではと言えるでしょう。

(左)男児の額に押す御朱印、(右)女児の額に押す御朱印

(左)男児の額に押す御朱印、(右)女児の額に押す御朱印

 

(取材・記事執筆 やまゆか)

参考資料

足利初山ペタンコ祭り 開催日

日時毎年6月1日 午前6時頃~午後5時まで(曜日に関係なく毎年6月1日開催)
場所足利富士浅間神社
栃木県足利市田中町
備考【電車で】
東武伊勢崎線 足利市駅より車で約3分、徒歩で約10分
JR両毛線 足利駅より車で約7分、徒歩で約20分
【車で】
渡良瀬川右岸(渡良瀬橋の近く)に臨時駐車場あり

※この記事に掲載されている情報は取材当時(2016/06/18)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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