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都内のレストランでも使われる、長谷川農場の「足利マール牛」

20186/11

都内のレストランでも使われる、長谷川農場の「足利マール牛」


株式会社長谷川農場から2013年7月に誕生した、「足利マール牛」という牛肉ブランドがあります。和牛とホルスタインの間に産まれた交雑種の牛に、「マール」という、ワインを造る際に出るブドウの搾りかすを餌として与えています。足利市羽刈町の牧場では、現在約700頭の足利マール牛が育てられています。今回、社長の長男で同社の取締役でもある、長谷川大地はせがわだいちさんに話を聞きました。

変わった餌をあげることへの挑戦

餌に使われているマールは、ココ・ファーム・ワイナリーでブドウを搾る時に出る果皮や種。捨てればゴミになってしまう果皮や種を、餌として使うことはできないかと、ココ・ファーム・ワイナリーから相談を受けたことがきっかけでした。当初はブドウの発酵した香りが強く、そのままではとても牛にあげられる状態ではなかったため、飼料業者も入れて改良し、「マール」という餌を完成させたそう。実用化にふみきった頃は、「変わった餌をあげた試みがなかった分、牛肉が良くも悪くもなるのかわからず、怖さはあった」と話します。

餌用に改良されたマール。正式名称はラクレージマール。

餌用に改良されたマール。正式名称はラクレージマール。

ふりかけをかけてあげるような感じ

牛は餌を食べれば食べる程、肉質が向上するといわれていますが、マールを牛に与えたところ、餌の食いつきが良くなり、最後まできれいに餌を食べるようになりました。「マールを与える量は少量です。人間でいうと、ご飯にふりかけをかけるような感じですね。マールで餌をひと味変えて、もうひと食いするようにあげています」と話します。牛の成長に伴い餌を食べる量が落ちる生後16か月から20か月の時期から、出荷をする28か月頃まで、一日50グラムを目安にあげているとのことです。

マールを食べる牛たち。

マールを食べる牛たち。

都内のシェフも扱うブランド牛

交雑種の特徴は、和牛特有の霜降りと、ホルスタイン由来の赤身の両方のいいところをもっている点。この特徴を持ちながら、さらに肉質に磨きがかかったのが足利マール牛なのだそう。2016年10月に飲食店への卸売りを始めて以降、足利マール牛をつかってみたいという問い合わせが、徐々に増えているといいます。足利市内よりも都内のレストランに卸すことが多く、南青山にあるEssenceエッセンスや、2018年3月に開業した東京ミッドタウン日比谷内に新規オープンしたmorceauモルソーなどのシェフが扱っています。

足利の人にも知って食べてもらいたい

将来的には小売りもしていきたいけれど、出荷するまでに2年以上かかり肉の量も限られているため、今はブランドをしっかりと理解して使ってくれる人を優先したいと長谷川さんは話します。一方で、足利で育った牛を地元の人にも知って食べてもらいたいという思いから、足利市で開催されるイベントには積極的に参加し、ブロシェットという串焼きの肉を提供しています。「食べたときに、地元で育った牛がこんなにおいしいと思ってもらえるのが嬉しい。そんな食材を提供できることが、生産する上での喜び、励みになっていますね。」

(取材記事執筆:小池香緒里、デスク:山田雅俊、校正:茂木諭子)

場所長谷川農場
足利市県町1230-1
備考[農場]足利市県町1230-1
[牧場]足利市羽刈町956
[選果場]足利市県町1346
電話:0284-64-7012
FAX:0284-64-7062
URL:http://hasegawa-noujou.jp/

足利マール牛が食べられるお店(足利市内)
直営店:ファーマーズカフェつちのか
精肉販売:JA足利農産物直売所あんあん弥生

※この記事に掲載されている情報は取材当時(2018/06/11)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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