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ロケットパン

足利の学校給食の今。なぜ「ロケットパン」は姿を消したのか


コッペパンのような形のパンにバタークリームが挟まっていて、上には赤やオレンジの甘い実がのせてある「ロケットパン」。

これは以前、足利市学校給食で出されていた給食パンです。当時、給食用のパンを作っていた石井製パン所・木村屋製パン所・小島東洋堂・筑波製パン・七福食品工業・福居パン・福地製パンが作り、担当の学校に届けていました。そんなロケットパンについて「足利学校給食共同調理場」栄養教諭の岩下充さんにお話を聞きました。

「学校給食共同調理場」栄養教諭の岩下充(いわした みつる)さん

「学校給食共同調理場」栄養教諭の岩下充(いわした みつる)さん

「楽しみを優先」という意味で出していた

給食はあくまでも食事なので「ロケットパンのような『菓子パン』は極力出さないようにしていた」と岩下さん。また、単価も高いという。しかし『楽しみを優先』という意味で、年に数回だけ出していたと岩下さんは教えてくれました。ロケットパンのパンには栃木県学校給食会から原材料の配合割合の指定があり、その指定に沿って作っていましたが、バタークリームの配合や量・チェリーの種類などはそれぞれのパン屋さんに任せていたとも。そこで、当時学校給食を担当していたパン屋さんにも話をきいてみました。

その店オリジナルのレシピがあった

「当店はクリームも手作り。チェリーもペクチンゼリーを使用している」と教えてくれたのは、現在もロケットパンを販売している「石井製パン所」店主の石井重夫さん。「クリームの作り方も量も、店それぞれ。『ドレンチェリー』という別のチェリーを使用しているお店もあった」とも。つまり、同じ名前のロケットパンでもその店オリジナルのレシピがあったということがわかります。

石井製パン所外観と、店主の石井重夫(いしい しげお)さん

石井製パン所外観と、店主の石井重夫(いしい しげお)さん

予算の関係もあり、現状ではロケットパン復活は困難

岩下さんが確認できたもので、2005年4月までは給食にロケットパンが出ていたそうです。同年6月に食育基本法が成立。「食育」の充実について考える動きが出はじめ、学校でも生きた教材として「日々の給食」を活用することに。その際「菓子パンではなくデザートを充実させ『日々の食事に重点を置こう』ということになった」などの理由から、ロケットパンはついに給食の献立から消えることとなりました。今後、ロケットパンがまた給食に登場することはあるのか質問したところ、「予算の関係もあり、現状ではロケットパンの復活は難しい」と話してくれました。

(取材記事執筆:赤坂千恵子、デスク:山田雅俊、校正:茂木諭子)


※この記事に掲載されている情報は取材当時(2019/04/25)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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