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自然学校NOSAP(ノザップ)
名草セミナーハウスを超え、名草ふるさと交流館も超えて218号線を山に向かって走っていくと、「自然学校NOSAP(ノザップ)」という看板が見つかる。看板の示すとおりに木々のトンネルを進んでいくと現れるのが、昔懐かしい面影のある「山の中の一軒家」、NOSAPの建物だ。
NOSAPは、平成7年4月に開校した学校。学校といっても、ここに先生はいない。クラスルームもない。この学校では、自然が教室となり、先生となる。自然学校NOSAPを運営するNPO法人の代表、嶋田英紀さんは、もともと市内のみどり幼稚園で先生をしていた。そんな嶋田さんにNOSAPを始めたきっかけを聞いてみると「最初はね、こういう新しい形がウケが良さそうかな、と思っただけなんです」という意外な答えが、やさしい笑顔と共に返ってきた。「NOSAPを始めたばかりの頃は、虫が嫌いでした。野草や山菜も、今でこそ食べるけれど、当時は食べなかったなぁ。好きじゃなかったんです。」という嶋田さんだが、この施設で遊び、育っていく子どもたちを見つめ続けるうちに、自分の目指すべきものが見えてきたようだ。
「ここに来る子どもたちを見ていると、人が育っていくのに、自然は不可欠だと実感できます。自然は私たちの『知ろう』とする力を引き出してくれます。自然は常に変化するので、そこには不思議がたくさんあるからです」と嶋田さんは語る。昔は子どもたちが自然の中で遊ぶのが当たり前だったので、こうした自然の不思議を目の当たりにし、自然を教材に知識と知恵を育むことができた。けれど今の時代、足利のような地方都市であっても、自然にどっぷり浸かって思いきり遊ぶ体験は限られてしまっている。NOSAPのような四方八方を木々に囲まれた環境の中の施設は、足利といえども珍しい。
NOSAPには、現在2人生徒がいる。このほかにも、月に何度か親子同士連れだって遊びに来る人たちがいる。取材中も、NOSAPを見学に訪れた親子がいた。規模としては決して大きいとはいえないこの自然学校だが、この場所、ここでの時間にひきつけられる人はいる。今年26歳の遠藤優子さんも、その一人だ。
遠藤さんは伊勢崎の大学に在学中、「プレーパーク」に出会った。プレーパークとは子どもの自由な遊びを目指して、地域住民とプレーリーダーが協力して運営する遊び場のこと。平成26年11月現在で、全国に約300箇所のプレーパークがあるという。
自分の責任で自由に遊ぶことを目指すプレーパークは、嶋田さんの運営するNOSAPと重なる部分が多々あった。そして、嶋田さんとの出会いがきっかけで、足利市民活動センターの東側に位置する山の敷地に「あそビック」というプレーパークを創る道筋も開けつつある。
遠藤さんは、この10月から現在の仕事を辞めて、NOSAPの運営する学童クラブで働き始めることが決まっている。そこにはプレーパーク開設への本気度が伺える。若者の熱意ある行動に、その道の先駆者である嶋田さんも助言や協力を惜しまない。
多くのNPOやNGOの抱える課題のひとつが、若い世代をどう取り込んで、組織やその活動を継続させていくか、ということ。一人の若者が入ったからといってすべての課題が解決するわけではないが、遠藤さんの参加は大きな変化でもある。NOSAPの次なる活動に、ひとつの未来が見えたようだ。
※この記事に掲載されている情報は取材当時(2014/09/04)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。
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satoko motegi

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