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明治時代に建てられた古民家が石畳に馴染んでいます。

20181/29

古民家に暮らすように泊まる「ゲストハウス松香庵」


JR足利駅、東武足利市駅からそれぞれ徒歩15分。足利学校や鑁阿寺ばんなじから程近い大門通に、国登録有形文化財 松村記念館があります。その一画、石畳通りに面した木造平屋の離れが「ゲストハウス松香庵しょうこうあん」です。「大正建築の日本家屋を味わいながら、自分の家のように自然に過ごせる」と宿の魅力を語るのは松村記念館の現当主でありゲストハウス松香庵の庵主、松村和久さん。

女性の一人旅のほか、家族旅行やグループ旅行、ツーリングやゴルフなど、旅行者の目的はさまざま。家族やグループで貸し切りになることもありますが、基本は相部屋。旅人同士で部屋を共有しながら各々の時間を過ごします。

ギャラリー移転が転機に。古民家ゲストハウスへの挑戦

松村さんは「常々、古民家のより良い活用法を考えていた」といいます。活用案の一つがゲストハウスでした。松香庵は明治時代に建てられた50平米程の一般的な民家です。20年程前からギャラリーとして利用されてきましたが、ギャラリーの移転に伴い、ゲストハウスに改装することを決断したのは2014年秋のこと。妻、トク子さんと二人で都内や京都、長野のゲストハウスを訪れ、足利の地域性に合った形態を模索しながら、2015年3月に定員5名のドミトリータイプのゲストハウスを完成させました。

宿泊者を迎える玄関。宿泊者は松村さんから玄関の鍵を預かります。

宿泊者を迎える玄関。宿泊者は松村さんから玄関の鍵を預かります。

気配りの行き届いた居心地の良い空間

宿泊者同士のコミュニティの場となるリビングは、天井も高く広々とした空間。天井の梁や欄間、民芸調のトイレ、調度品など随所に古民家の風情を感じさせながら、使いやすくモダンに改装されています。リビングの右手には二段ベッドが2台並んだ寝室、奥に冷蔵庫や電子レンジなどが備わった簡易キッチンとシャワールームがあります。個々に貴重品をしまえる鍵付きのロッカーもあり、一人旅でも宿に荷物を置いて身軽に街歩きができます。宿泊の予約は基本的にメールで行い、その時に旅の目的など松村さんと簡単なやり取りをすることも。庵主や同室の旅行者との触れ合いもまた、ゲストハウスに泊まる醍醐味といえます。

山小屋風の内装のリビングは宿泊者同士のコミュニティスペースになります。

山小屋風の内装のリビングは宿泊者同士のコミュニティスペースになります。

多様化する旅の目的、宿泊できるレンタルスペースとしての使い方

足利市の観光客数は、過去25年ほど200万人台を横ばいで推移していましたが、近年は右肩上がりで、2016年には400万人を超えました。鑁阿寺の国宝指定や足利学校の日本遺産認定、あしかがフラワーパークの人気なども起因となり「足利市を訪れる人の目的も多様化している」と松村さんは話します。宿泊費を抑えてゲストハウスに泊まり、その土地での出会いや地域性を楽しむことを旅の目的にしているバックパッカーやインバウンドの外国人の宿泊も多くなっています。松香庵に泊まりながら母屋である松村記念館をイベントやフォトスタジオとしてレンタルすることもできるため、コスプレのイベントや結婚式の前撮りなどで利用されることもあります。

各地から訪れる人達との出会いが私たちの旅

「宿泊業を始めて、嫌な思い出はひとつもない」と松村さん。宿泊者数年間300人を目標に掲げて始めたゲストハウスで、2017年は240人程の利用がありました。「ここにいながら、外から訪れる人達と交流することが私達夫婦にとっての小さな喜びであり、自分も旅しているようだ」と話します。

「都会のマンションに暮らす家族が泊まった時には、子ども達は屋根に落ちる雨音や松村記念館の畳や廊下も新鮮で、はしゃいでいた」といいます。石畳を歩いて近くの銭湯まで行き、古民家に帰る。現代の生活スタイルでは失われつつあるこんな暮らしが足利で体験できます。(取材執筆:中村 梓、デスク:山田 雅俊、校正:茂木諭子)

庵主の松村和久さん。ベッドルームには2段ベッドが2台置かれています。

庵主の松村和久さん。ベッドルームには2段ベッドが2台置かれています。

場所ゲストハウス松香庵
栃木県足利市大門通2381
申込方法電話:0284-41-2646
HP:http://shokoan.net/
備考チェックイン:16時〜19時(門限:22時)
チェックアウト:8時〜10時
宿泊料金:1泊1名素泊まり/¥2,600
夏期・冬期は冷暖房費 +¥200
グループ割引あり
女性・家族限定(*5日前までに女性の予約がない場合のみ男性も宿泊できます。)
3名以上で貸切も可。
駐車場あり(公共駐車場たかうじ君広場)

※この記事に掲載されている情報は取材当時(2018/01/29)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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