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赤いのれんの花乃湯

20182/6

足利唯一の銭湯。まきで湯を沸かす「花乃湯」


内風呂の普及により全国の銭湯は減り続け、足利に今も残っているのは一軒のみ。織物会館の裏手に、長い煙突から煙が立ち昇る銭湯花乃湯があります。ガスや重油ではなく、釜にまきでお湯を沸かしている昔ながらの銭湯です。木札の鍵のげた箱、番台、富士山のペンキ絵もあります。お客さんは自転車で来るような近所の常連さんや、通りがかりの人などさまざま。土曜日などはリュックサックを背負ったハイキング帰りのお客さんもいるのだそう。花乃湯の店主高畑久子たかはたひさこさんにお話を聞きました。

男湯からも女湯からも富士山を見ることができます。

男湯からも女湯からも富士山を見ることができます。

来てくれるお客さんのために釜の使い方を覚えた

花乃湯の創業は昭和28年。高畑さんのご主人のお父様が始めて、12年ほど前にご主人が亡くなってからは、高畑さんが一人で切り盛りしています。ご主人が亡くなるまでは釜にまきをくべてお湯を沸かすのはご主人の担当だったため、最初は釜の使い方がわからなかったそう。しかし、「花乃湯のお風呂を楽しみに来てくれるお客さんがいるのだから、銭湯を再開しなくては。」と釜屋さんに来てもらい使い方を教わったり、ご主人のやり方を思い出したりしながらお湯を沸かし始めました。

番台前の温度計で50度をキープ

釜で沸かしたお湯の温度は番台の前にある温度計に表示されるようになっていて、温度が50度になるようにまきの量を調節しています。蛇口から出てくる湯の温度は42度~43度。少し熱めですが、「あったまりたい」というお客さんの要望により年間を通してこの温度になりました。浴室は天井が高いので、室温が上がりすぎず、熱い湯につかってものぼせにくいそうです。

30分ごとに釜の様子を確認

釜の温度を50度に保つためには、こまめな確認が必要です。温度が下がらないよう30分ごとに釜の様子を見に行き、まきの量を調節しなければなりません。そのため、高畑さんは休む間もなく忙しそうに番台と釜を行き来しています。

こまめに釜の様子をチェックします。

こまめに釜の様子をチェックします。

創業当時からのやり方を引き継いで

13時半からの営業に間に合うように、朝9時くらいからお湯を沸かし始めます。湯船にお湯を貯めるのに1時間ほどかかるそう。まきは材木屋の余った木や市場で使用していたパレットなどを利用しており、大きいものは義理の弟さんが釜に入る大きさに切り分けて、釜の側まで運んでくれます。冬場はまきを大量に使用するため、まきの確保が大変だそうです。時間も体力も使うけれど、創業当時からのやり方を引き継いで、今もなお、まきでお湯を沸かし続けています。

(取材記事執筆:遠藤聖美、デスク:山田雅俊、校正:茂木諭子)

場所花乃湯
栃木県足利市巴町2541-1
備考TEL 0284-21-8538
営業時間 13:30~22:00
定休日 日曜日
駐車場 5台

※この記事に掲載されている情報は取材当時(2018/02/06)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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