© あしかがのこと。 All rights reserved.
家族から120%失敗すると言われていたパン屋「クマーズ」
足利市新宿町にある「クマーズ」は2004年12月にオープンしたパン屋さん。一見すると物置小屋のため、パン屋だとは気づかずに通り過ぎてしまいそうな佇まいです。そんなお店のパンの製造を、全て一人でおこなっている、店主の藤田昭江さんに話を伺いました。
もともとはケーキ屋さんになるのが夢だった
藤田さんがパンに興味をもったきっかけは、高校時代にオーブンをもらい、そのオーブンでクッキー作りを始めたことです。将来ケーキ屋さんになって自分の店を持ちたいと思い、夜になってキッチンがあくと、勉強そっちのけでお菓子作りに没頭していたといいます。その後調理師学校に一年通い、ケーキ屋に就職。しかし、タルトやパイなどの焼き菓子は好きでしたが、ケーキのデコレーションはあまり好きではなかったため、27歳でパン作りに転向しました。
家族からは120%失敗すると言われていた
夢であった自分のお店を、40歳で立ち上げた藤田さん。パン屋の仕事は朝が早く、お店へ通うのは難しいと思い、自宅の隣の土地を借りて始めました。しかし家族からは、パン屋を始めることを反対されていました。「普通商売をやろうと思って、場所もここでうまくいくと思う?うちの旦那には120%失敗するって言われたんです。」と笑いながら話します。そんな旦那さんが、藤田さんの“クマ”というあだ名をとって「クマのお前が作っているパンだから、クマーズがいい。」と、お店の名前をつけました。
焼き立てのパンが売り
あまりパンが好きではなかった旦那さんが、焼き立てのパンを食べて感動したのを見て、お店では焼き立てのパンを売りにしていこうと決めます。「時間が経っても150円っておかしい。同じパンでも商品価値って下がると思うの。」と話します。開店の11時半以降も次々と焼き立てのパンが並び、その数は28種類になります。オープン後、徐々にパンが完売するようになると、お昼に行かないとパンがないという情報がお客さんの間で広まったこともあり、現在も14時頃には完売してしまうといいます。
お店はこれ以上大きくはしない
開業資金の都合で、パンの製造と販売ができる最低限のスペースでお店を始めた藤田さん。売り場が狭く、大人3人が入るとぎゅうぎゅうの状態です。しかし、オープンから13年経った今でも、お店をこれ以上大きくするつもりはないといいます。「大きくしても、人って飽きるじゃないですか。」と藤田さん。パンを作るのが楽しく、人を雇って指図をする立場にはなりたくないと、現在も朝の4時半から、一人で仕事をこなしています。
(取材記事執筆:小池香緒里、デスク:山田雅俊、校正:茂木諭子)
場所 | クマーズ 栃木県足利市新宿町1120-1 |
---|---|
備考 | 電話:0284-73-6002 営業時間:11:30~売り切れ次第終了 定休日:水、日、祝日、第一第三木曜日、8月 駐車場:5台 |
※この記事に掲載されている情報は取材当時(2018/02/07)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。
※見出し、記事、写真の無断転載はご遠慮ください。
コムラボ
最新記事 by コムラボ (全て見る)
- 足利の学校給食の今。なぜ「ロケットパン」は姿を消したのか - 2019年4月25日
- 足利で創業100年。親子3代続く稲葉納豆工業所 - 2019年4月1日
- 足利の学校給食で使われている牛乳パッケージの歴史をたどる - 2018年9月20日