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手ぶらで大丈夫!1300年の歴史を持つ足利で着物まち歩き体験
かつて着物の生産日本一だった足利
足利の織物の歴史は古く、平安時代には東大寺に織物を献上したという記録(※1)があります。昭和14年、足利は、銘仙の生産日本一となりました。銘仙とは、着物の一種で、絹糸に先染めして織る絣織物(※2)です。20世紀前半、欧州から輸入した近代技術を背景に、銘仙は普段着の着物として当時の日本女性を魅了しました。手頃な価格と斬新なデザインで、一世を風靡した銘仙は、女学生の通学着としても用いられました。その銘仙を気軽に着付け体験できる場所が「足利まちなか遊学館」です。
手ぶらで大丈夫!足利の着付け体験
「足利まちなか遊学館」は、足利市中心部の通1丁目にあります。そこで着付けを行っている団体「足利まち歩き事務局」の木村克子さんに、詳しいお話を伺いました。着付け体験が始まったのは、2016年11月。銘仙の産地足利で、気軽に着物の体験をしてもらいたいという事務局の想いからでした。着物で観光している人を見たお客様が、当日申込みをすることもあるそうです。「気軽に着て欲しいから、手ぶらでも大丈夫。必要なものはお貸しします」と木村さんは話します。
海外からの注目度も高いKIMONO
着付けを体験する方の2割は、外国人だそう。海外からのお客様に、日本文化を気軽に体験できると好評です。実際に、台湾やタイからの取材もあり、注目の高さがうかがえます。もちろん日本の若い女性にも、鮮やかな色彩と、大胆なデザインの着物は人気であり、リピーターも増えているそうです。「着付けの際に重視しているのは、着心地です」と木村さん。石畳を着物で散策して欲しいから、着心地が良く、動きやすくなるよう心掛けているそうです。
老若男女が楽しめる着付け
体験の種類は、銘仙の他、鎧や、男性用の着物、浴衣や幼児の着物などがあります。また天候や季節により、体験できる着物が異なります。着付けにかかる時間は、着物や鎧で約20分、浴衣なら5〜6分です。着物を着ると、不思議と皆、笑顔になるそうです。「身長が高い人も、低い人も、おはしょり(※3)で調節すれば大丈夫。大柄な方もいらっしゃいましたが、着付けることができなかった人はいません」と木村さん。夏用の浴衣は5Lサイズまで揃っています。
着付け体験を続けていくために
着物のお手入れは、とても気を遣う作業です。特に銘仙は、時代を経た生地であるため、破れてしまうこともあるそうです。可能な限り補修し、大切に使用しています。着物の仕入れや、クリーニング、小物類の調達など、近隣のお店の協力があるからこそ続けられているそうです。「もっと多くの人に足利を訪れてもらって、銘仙の産地足利で、着物を楽しんでもらいたいです」と着物でまち歩き体験への想いを話します。(取材・記事執筆:尾﨑佳代子、デスク:山田雅俊)
※1 足利まちなか遊学館「足利の織物産業の沿革」掲示物より
※2 図案に沿って糸を前もって染め、これを用いて織った織物。模様の輪郭がかすれて見えるのが特徴
※3 はしょり…きもの丈の着丈よりも長い寸法を腰のところでたたみ、ひもでおさえること
参考文献
- VIVID銘仙 煌めきの着物たち「大正ロマン」から「昭和モダン」へ(2016)足利市立美術館監修
- ソデカガミ 銘仙着物コレクション (2004)通崎睦美
- 足利纎維名鑑(1953) 足利纎維週報社
- 足利織物伝承館 足利の織物産業の沿革
足利まち歩き事務局(足利まちなか遊学館内)
場所 | 足利まち歩き事務局(足利まちなか遊学館内) 栃木県足利市通1丁目2673-1 |
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備考 | 【着付け体験】 料金:着物レンタル+着付け 3,000円~ ・ご利用は、着付け終了から90分間 ・以降30分ごとに+500円(上限3時間) ・下着・下駄など別途オプションあり 【受付時間】 午前9時~午後12時半 ※着付けに関するお問い合わせは、午後1時までがスムーズです |
※この記事に掲載されている情報は取材当時(2017/07/06)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。
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尾﨑 佳代子
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