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足利市民プラザ演劇祭2013 中山孝一さん、花澤優一朗さんインタビュー


今回は、足利市民プラザ演劇祭に19回連続参加となり『鰻の出前』を上演する劇団「あちゃらかきっず」代表の中山孝一さんと団員の花澤優一朗さんにお話を伺いました。

中山さん(左)と花澤さん(右)

中山さん(左)と花澤さん(右)

■まず劇団名の由来から教えてください

中山さん(以下敬称略): はい、「あちゃらかきっず」というのは、「あちゃらか」と「きっず」という言葉に分かれています。あちゃらかというのは、その
昔浅草の人情喜劇をやっていた花菱アチャコや、そこら辺の芝居を「あちゃらか芝居」と呼んでいたんですね。で、そのお気に入りの言葉を見つけた時、皆十代
二十代だったので、それに「きっず」を付けて「あちゃらかきっず」という名前ができあがりました。

■劇団を設立された経緯は?

中山: 元々あちゃらかきっずはバンドだったんです。当時、月に一度ライブをさせてもらっていた呑み屋さんが閉店することになりまして、ライブできるとこ
ろがなくなってしまいました。でも何かやりたいねって話から、じゃあバンドじゃなくて芝居でもやるかってことになりまして、バンドメンバーと高校の時の呑
み友達が集まって劇団「あちゃらかきっず」ができました。私は、それがバンドであっても劇団であってもツアーコンであっても文化祭の実行委員とかでも、何
かを創り上げることが好きなんですね。

■団員の皆さんはどんな人たちですか?

中山: 設立当初の話からすれば、団員集めのために全く知らない女の子をスカウトしたこともありましたね。高校演劇部に入っているらしいという噂を聞きつ
けて、その子のバイトが終わるのを待って声をかけたこともありました。そのように20年間やってきて今では高校生から六十代までの幅広い年代の集団となり
ました。
今日は、その中からエースの花澤優一朗を連れてきました。彼は劇団設立から10年目に入団したメンバーで、芝居に対しても生き方に対しても熱い男です。一つ問題なのは暑苦し過ぎることで、たまに近くに寄ることが面倒くさくなることがあります(笑)。

■花澤さんが、入団されたきっかけは?

花澤さん(以下敬称略): あちゃらかきっずとの出会いは21歳の時でした。高校卒業後、都内の舞台俳優養成専門学校で一年間やって、こちらに戻って普通
に社会人になりました。それからしばらく経った頃、このまま何もせずに過ごすんだったら演劇でもやってみるかという程度の気持ちで入りました。
それからエースと呼ばれていますが、一度もエースらしいことをしたことがなく、からかわれているのではないのかと思ったりするわけですね。

■稽古の様子は、どんな感じですか?

中山: 他の劇団と違って、練習しているより喋っている時間が多いです。その雑談の中で相手の呼吸とかもわかりますしね。本気になるのは一ヶ月前あたりか
らです。こんなこと言ったら怒られちゃいますけど、集中力が皆さん続かないもんですから、その集中力が続くのが1ヶ月位なんでしょうね。台本の覚えも悪
く、稽古していても喋ってばかりで、まあちょっとイライラするところもありますが、それがあちゃらからしくて良いんじゃないかなと思います。

花澤: 簡単にいえば、本気でバカなことをやる集団っていうんですかね。僕も30歳を過ぎましたけど、ここまで馬鹿なことをしている人たちを、あまりこの
辺で見かけないですよね。怒られたりもしますが、こんなバカなことを本気でやれるところってないと思いますよ。大きい声を出せたり、なんて言うんだろ…自
分が人生を歩いていく上で、ない道を歩かせてもらっている場所といったら変ですけどね。みんな個性豊かなので見てると勉強になりますし、人間というものに
とても興味を持てる場ですかね。

■ところで中山さん、芝居より好きな事は何ですか?

中山: 沖縄にはまってます。旅行が好きなんです。世界中を旅して最終的に辿り着いたのが沖縄です。今まで30回以上は行っていますが、願わくば仕事を辞め、芝居を辞め、沖縄に永住できればと思っています。

■花澤さん、芝居の他に好きな事は何ですか?

花澤: 楽しく食事をすることですね。誰かしらを捕まえて何人でもいいから笑って宴みたいな食事をすること。これが、この世の何よりの幸せだと思ってます。それと皆の笑顔を見ることですね。

■おふたりとって演劇とは何ですか?

中山: 人生そのものです。皆が旅行とか出かけている時に、汗水垂らしながら大道具を作り、夜な夜な稽古をし、寝る時間を割いてまで色んな物を作り、人生の全てを捧げています。(花澤さん笑)

花澤: 遊び(笑)。よく会話のキャッチボールなんて言われますけど、日曜日に集まって草野球するみたいな程度なんですよ。皆が楽しくて、皆がいろいろな
ポジション守って、あるタイミングで一致団結するとか、思いっきりどろんこになりながらやるようなものだなということなんです。だから上手いとか下手とか
関係なしなんですね。本番中も、僕自身は「芝居をしよう」といつもりは全くなくて、知り合いからは「全く花澤のままだったよ」と言われることも多いんで
す。正直、「演劇とは、芝居とは?」と問われれば、僕の中では答えは持ち合わせていないですね。だけどお客さんあってのものだし、観に来てちょっとわくわ
くしていただけるものだと思います。演り手として僕にとっては、これ以上の遊びは無いんですよ。僕の中では最上級の遊びです。

■今回の公演『鰻の出前』について、一言お願いします

中山: 鰻っていつも食べられるご飯じゃないじゃないですか。何かあった時、体が疲れた時、土用の丑の日とか、運動会があって今晩は鰻だー! とか、親戚
が来たから鰻取ろうとか、そういう食べ物じゃないですか。家族がリンクしていくような、鰻というのは、そんな不思議な食べ物。何かイベントがあった時しか
食べない食べ物。いろいろな出来事の際に、その時どきに出てくるのが鰻の出前ということですね。
そして、あちゃらかきっずが長年やってきている人情喜劇:笑って笑ってちょっと泣いてまた笑って、で見終わった後には心に何も残らずに帰ってもらって、帰
りにファミレスでも行ってもらって、おいしいご飯を食べてもらって、おいしいお酒を飲んでもらって、それでいいんじゃないかなと。

花澤: 少しでも演劇に興味があれば、ぜひ公演を観に来てください。おもしろい、つまらない、いろいろあるかと思いますが、きっと心の隙間みたいなものを埋められると思います。うちの劇団には、その自信があります。

-- ありがとうございました。

(聞き手/「あしかがのこと。」編集員:岩澤)

足利市民プラザ演劇祭2013 上演スケジュール

あちゃらかきっず『鰻の出前』

日時:

  • 9月7日 19:00開演
  • 9月8日 14:00開演

場所:足利市民プラザ文化ホール


※この記事に掲載されている情報は取材当時(2013/09/05)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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