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災害に対して私たちができること(後編)


前回の「災害に対して私たちができること」の続きです。

実際の「現場の動き」を学ぶべく、市役所へお話を伺いに行ってきました。今回お話を伺うことができたのは危機管理課の山岡さんと、社会福祉課の橋本さん。当日はお忙しい中ありがとうございました。

そねだ:それでは災害時要援護者対応マニュアルを基にお話を伺います。このマニュアルの中に、市役所組織と自治防災会との連携についての記述がありますが、一市民として災害時の行動とこのような組織との関わり方について教えてください。

山岡さん:もし災害にあわれた時は自己の安全の確保を行い、一時避難所へと集合してください。残念ながら災害時に市役所が機能的に動けるのは、少し時間が経ってからになります。それまでの時間は、ご自身と自主防災会で安全の確保をしてもらうしかありません。自主防災会とは、災害に対して自主的に結成された市民団体で、皆さんの身の回りの災害に対して最も素早く直接的な行動を取れる最小の組織のことです。市内ほとんどの地域で、自治会がそのまま自主防災会の役割を担っており、足利市内ではすべての自治会で、自主防災会を組織しています。いざ災害となった場合には地域で助け合いながら身の安全を図ることが必要です。頼りになるのは防災会長であり、防災リーダーといわれる人たちです。防災リーダーとは、市が行う防災リーダー研修受講者(防災講義、普通救命研修、資機材研修が含まれる)のことで、災害時に市民目線で最も機能的な行動ができる方になります(注:防災リーダー研修受講には防災会長さんの推薦が必要です。)。従って、有事の際は市民の皆様には防災会長さんや防災リーダーの指示に従っていただくことをお願いします。

そねだ:ありがとうございます、災害時の具体的な行動がより明確になりました。防災への備えとして、自主防災会による防災講話や防災訓練が行われていると聞きましたが、そういった情報はどのように得られるものでしょうか。

山岡さん:防災講話や防災図上訓練などは、危機管理課が自主防災会の依頼を受けて近くの公民館などで行っています。町内の回覧板で告知されていることが多いようです。ただ、若い独り暮らしの方などは、そもそも自治会に入っていなかったりするので、全住民へのお知らせは難しいのが現状のようです。防災訓練も一回行えばいいというものではなく、災害の性質(地震なのか、風水害なのか)や発生季節、時間などによって回避すべき危険性が変化するので、日ごろからの危険予測やいろんなケースを想定した訓練を行う必要があります。

そねだ:私も自治会への参加はおろそかにしていたので耳が痛いですが、今後は極力かかわっていきたいと思います。
少し話が変わりますが、先日の山梨県の大雪の際に、遠くながらも何とか手助けをしたいと思いましたが、結局物理的な距離間のため、援助の困難さがありました。もし、足利が災害に見舞われたとき、一人暮らしのご老人たちの安否確認を含めた救助活動はどうすべきでしょうか。

橋本さん:本当は隣組のようなご近所さんの連携で自発的な安否確認や日ごろの挨拶が行われているといいのですが。足利市でも足利市地域防災計画に基づき、高齢者・障害者に対する支援体制の整備を図るため、災害時要援護者対応マニュアルを策定し、要援護者の名簿登録を進めてきました。しかし、実際に登録されている方は登録対象権利者の3割程度です。個人情報保護の観点等から、登録を希望しない方がいらっしゃいます。先の東日本大震災では、高齢者の死亡率が全体の6割であったこと、要介護者の死亡率が他と比較して2倍高かったことから、要援護者の生命や身体を守るため昨年に災害対策基本法の改定が行われました。これにより、援助が必要な方を避難行動要支援者と再定義して、有事の際の防災会等への情報開示、救助活動が可能になりました。現在は、この改定法案にそった組織体系やマニュアルの再編中ですが、各防災会等によって迅速な救助活動が行えるような情報整備を図ってまいります。
また、主に中学生に向けて、防災図上訓練を行っているNPO団体もあるようです。こういった、取り組みに関わることで、少しでも防災の考えを日常に意識することが大事ですね。

そねだ:それは良かったです。これまで知らなかったのですが、自主防災会の役割はかなり大きいのですね。避難行動要支援者の話が出ましたが、援助が必要な方の特定はどのようにされていますか。

橋本さん:地域の立役者は、やはり民生委員さんです。民生委員さんが、実際に足で町内を歩き回り地域の皆さんの状況を把握し見守りをされています。そうした日々の活動を基に、避難行動要支援者の登録者の機微を確認されています。
東日本大震災の時に市役所から安否確認をお願いしたのですが、足利市内の民生委員さんはいち早く行動され、既にほとんどの民生委員さんが、無事の確認をされた後でした。

そねだ:私などが気にするまでもなく、温かな目は私たちの地域を見守ってくれているのですね。では足利での有事の際には、周りの市やボランティアとの連携などはどのようになっていますか。

橋本さん:現在は社会福祉協議会がその窓口の業務を受け持つことになります。東日本大震災の災害直後には、多数のボランティアが集合したものの組織だった機能的な統率がとりづらく、効果的な行動がとれないケースがありました。この教訓をもとに、ボランティアの人員や配置を調整するボランティアコーディネーターの役割についても議論がされており、現在はマニュアルの作成中です。

そねだ:ありがとうございました。大変勉強になりました。

あとがき:日本の組織の「モレなく・ダブりなく」という動きは、私が思っているよりはるかに素晴らしく機能的で、それは防災関連に対しても同じでした。まずは地域の安全を確保するために私たちにできることから、やっていきたいものです。自治会の集まりに参加して、回覧板に必ず目を通す。そんなことだけでも、地域への災害対策にコミットしたことになるはずです。


※この記事に掲載されている情報は取材当時(2014/04/03)のものです。お気づきの点があれば、「あしかがのこと。」編集部へお問い合わせください。

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soneda

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足利歴6年目突入の九州男児。 足利在住のきっかけは、追い求めた職種がそこにあったから。 都会にも近い程よい田舎加減が気に入っています。 今年は30の大台に突入したので、変化の年にしたい!

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